『ワンピース』のサンジはなぜ悪党だった海賊を助けたのか?
食べられない怖さを知ってるからね!
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第165回
人気マンガ『ワンピース』にサンジというキャラクターがいます。主人公ルフィが率いる「麦わら海賊団」の一員で、船員たちの食事をまかなうコックが担当です。
サンジはルフィたちの仲間になる前は海上レストラン「バラティエ」で副料理長をしていました。このバラティエにルフィたちが訪れた直後、「クリーク海賊団」の戦闘員ギンが餓死寸前の状態でやってきます。
クリーク海賊団は目的のためには手段を選ばず、騙し討ちも平気で行うことから悪名高く、人々から忌避されていました。バラティエのコックたちはその一味であるギンをレストランから追い出し、他の客はその行いを囃し立てます。しかし、サンジだけはギンに同情し、人気のない場所で料理を差し出します。
サンジがそうした行動に出たのには、自分も同じ経験をしていたからです。サンジは幼い頃に嵐に巻き込まれ、食料のない無人島で遭難しました。この時、一緒に遭難したバラティエの料理長兼オーナーであるゼフは「二人で半分に分ける」と嘘をつき、実際は残された食料のすべてをサンジに渡していました。
ゼフはもともとサンジが乗っていた客船を襲った海賊でした。ゼフにとってサンジは本来ならば助ける義理もない間柄です。しかし、サンジには「世界中の海の食材が集まる海『オールブルー』を見つける」という夢があり、それはゼフと同じ夢でした。だから、ゼフは自分の足を切断して食べることで飢えをしのぎ、サンジに食料をすべて渡すという行動を取ったのです。
◆サンジがギンに対して取った行動には理由がある
行動の背景には常に人物の影響があります。サンジがギンに対して取った行動には、ゼフがサンジに対して取った行動が反映されています。「悪名高い海賊なんて助けなくていい」というサンジ以外の思考は妥当です。しかし、誰かに心を揺さぶられたことで生まれた信念は普通に考えたら、あるいは合理的に考えたら、絶対に取らない行動を取る根拠になります。
何かを成し遂げるには、こうした信念が必要です。誰もが「やめておけ」と止めるような、普通なら絶対に取らない行動を取らなければ、何かを成し遂げるのは不可能だからです。だからこそ、歴史に名を残すような偉人たちは「馬鹿になれ」「向こう見ずであれ」と激励する言葉を残しています。
そして、そうした行動の根拠は人物の影響にあります。誰かに心を揺さぶられた体験は原風景となって輝き、その人の行動の下支えとなります。「うまいきそうだからやる」「うまくいかなそうだからやめる」といったレベルの判断をしているうちは、まだ「自信」や「信念」について論じられる段階でありません。信念は確率や可能性とはかけ離れた概念です。
進学、就職、転職、結婚、離婚。人生には単にクレバーなだけでなく、信念が必要な瞬間が時折訪れます。そのために自分が受けた「人物の影響」を記録することで、常日頃から信念を養っておく。それがマインドレコーディングです。
もし「今のままで終わりたくない」「何かを成し遂げたい」と考えているのなら、自分の行動の根拠を「誰かの施し」に求めてみてください。「あの時、あの人が、ああ言ってくれたから。だから自分も誰かに同じことをしたい」という行動を見つけられた時、そこには何よりも強いモチベーションが伴っているでしょう。
【佐々木】
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
(出典 news.nicovideo.jp)
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